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栃木県宇都宮市で着物と着付け教室、振袖を扱う呉服専門店|宇都宮伊澤屋です。着物のお手入れや和のお稽古事、洋装・フェアトレードなども取り扱っております。

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ミルトス・ブログ

織物の魅力と魔力
2018年05月28日

 

いつも当店をご愛顧いただき誠にありがとうございます。

 

525日(金)から28日(月)まで銀座の時事通信ホールにて、「日本紬織物フェスティバル」が開催されています。当店でも、

スタッフとお客様とで観てきました。

東銀座駅を降りてすぐ、という便利な場所にある時事通信ホール。入ってすぐの総合案内所にいる警備員の方も若くてイケメン。

 

エスカレーターで2階に上がると目の前が受付。会場に入るとドドーンと結城紬の作製工程の実演が展示されていました。

繭玉を水に浸しておいたものをほぐして、中のお蚕さんを取り出します。繭玉を手の平で伸ばしていき、ドラえもんのポケットのような形にして、洗濯物を干すように、紐に掛け並べて天日干しします。

それから、「つくし」と呼ばれる竹製の道具に、ほぐした繭玉の乾いたものをほぐして掛けて、そこから少しづつ引っ張って、手で撚っていきます。ここまでは、昔は、結城の農家のお家の女性の仕事で、小さい頃からお母さんやおばあちゃんの手仕事を見てきたので、見よう見まねで、特に教えるということもなく、代々受け継がれてきたそうです。

 

そこから、糊付をして、整経と呼ばれる作業で、糸を決められた長さと本数に整え、経糸(たて糸)を作ります。

そして絣くくりが次の作業です。経糸を枠に巻きつけて図案に従って竹のヘラで墨を付けていきます。墨を付けた部分を綿糸で縛る作業を「絣くくり」または「絣くびり」と呼びます。縛った部分には染料が入らないので色がつきません。この無染料の部分との組み合わせで絣模様となります。まさに数学の世界で、いまではコンピューターでこの作業をしている所もあるそうです。ゆくゆくは人の手でしなくなっていくのでしょうか。見ているだけで頭がこんがらがりそうな、複雑なお仕事でした。これは男性のお仕事だったようです。

 

そうして印が付けられたものを手織り機にかけて織っていきます。これも根気のいるお仕事。一反作るのに3ヶ月から6ヶ月。ひたすらに織っていきます。腰に細い帯のようなものをかけて、足にも紐をくぐらせて、まさに手織り機と職人さんが一体となって作品が仕上がっていきます。

 

仕上がった作品は検査にかけられ、織の甘いものは商品として認めてもらえません。つまり、売り物になりません。様々な工程を経て、尚且つ厳しい検査を通過してお客様のお手元に届くことを考えると、その作品を扱う小売店が、その一反が出来るまでの物語を語れるようでなくちゃなあ、と思いました。勉強不足を痛感しました。

 

会場には所狭しと、全国各地の織物が一斉に展示されていて、それはそれは壮観。なんともゴージャスな会場でした。

びっくりしたのは昨日、テレビでお顔を拝見した小千谷ちぢみの樋口隆司先生が会場にいらっしゃったことです。「微睡(まどろみ)の夏」というタイトルで、小千谷ちぢみの伝統の柄のトンボをあしらった作品を展示していらっしゃいました。

 

米沢の紅花紬を一度にあんなにたくさん見たのも初めてでした。紅花紬の帯はとても軽くて柔らかな色合いが素敵でした。米沢で一番古い織元、長井織物さんの星の瞬きを現したような伝統的な絣柄の黒い紬は、溜め息が出るほど美しい作品でした。紅花紬を見ていて、満開の紅花が咲いているところを見て見たいなあ、と思いました。紅花はトゲがあるので、摘むときにトゲが刺さって血が滲み、紅花の紅も指先に滲み、血の色なのか紅花の紅なのか分からなくなるそうです。比較的、早朝の朝露がおりている頃に摘むと手を傷つけルことが少ないそうです。朝露のおりた満開の紅花の畑。見て見たいのでツアー企画しようかな?と真剣に考えております。きっと綺麗です。

 

牛首紬は糸がとてもとても細くて、手つむぎの糸の撚り方が不均等なため、独特のデコボコとした風合いがあります。惹かれたのは墨黒の牛首紬。墨黒の中に緑や紺色が沈んでいて、複雑な繊細な美しさがある色合いです。この色を染めた職人さんのセンスが光る、物静かな佇まいの中にも凛とした強さを感じる色でした。こんなきものが似合う大人の女性って誰だろう?と暫しかんがえました。

 

織物の世界は奥深く、一つ一つの丁寧な手作業に感動します。着れば心地よくて、思わずうっとりとします。織物の魔力。

おそらく、日本人としてのDNAに存在するご先祖様の記憶、着ていて「ホッとする」感覚が呼び覚まされるからなのでしょう。

プリミティブな感覚において「懐かしい」と思える織物のきもの。

決してお安いものではありません。でも、それだけの価値があります。

勉強不足を自覚し、織物の魔力に取り憑かれた素敵な体験でした。

 

タグ: 日本紬織物フェスティバル  時事通信ホール  結城紬  牛首紬  紅花紬  大島紬  米沢紬  織物    東銀座駅