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栃木県宇都宮市で着物と着付け教室、振袖を扱う呉服専門店|宇都宮伊澤屋です。着物のお手入れや和のお稽古事、洋装・フェアトレードなども取り扱っております。

宇都宮伊澤屋へお越しの際は、ご来店予約が便利です。おまたせせずにご対応いたします。

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ミルトス・ブログ

秋深まり心深まる夜
2018年10月23日

 

いつも当店をご愛顧いただき、誠にありがとうございます。

 

夜の寒さが増して、温かなココアが似合う時期になってまいりました。

秋の夜長は寝るのがもったいないくらい、心落ち着く静かな時間です。好きな音楽をゆったりと聴きながら読書するのは、秋の夜長の過ごし方の王道と申せましょう。

 

 

詩集をパラパラとめくるのも、楽しいものです。

 

「家のものどもは みんな寝入ってしまった 枕を並べて安心している顔を見ると ただしい心になる まちがいなくこの者たちを守ろうとおもう」

『捨て身の願い』 八木重吉 

家族の寝顔を見て、家族への愛情を謳った詩です。結核のため30歳で早逝した八木重吉は、純粋で真っ直ぐな美しい詩を書きました。

明治31年に生まれて昭和2年に召天した八木重吉が生きた時代は、日常着としては きものがメインでした。

彌生書房から出版された「定本 八木重吉詩集」の冒頭を飾る八木重吉の写真は、重吉自身も紬のきもの、その腕に抱いている、おそらく2歳前後の長女 桃子も木綿のきものに白い大きなよだれかけをしています。

生活の中できものを着ていた様子が詩の中にも見えてきます。袂に何かを収める所作や、裾をからげて急ぎ足する様子、袖に何かを隠して歩くところなど。

日々の生活の中で紡がれた詩の中に、きものを着て生活している様子が如実に現われています。

重吉25歳の時に、18歳で嫁いだ富子夫人は重吉が召された時は23歳で、4歳の長女・桃子と2歳の長男・陽二がいました。

しかし、桃子は15歳でやはり結核で召され、陽二も16歳で同じく結核で召されます。

37歳で一人ぼっちになった富子は、日本製綿工場で働きながら亡き夫の遺稿を世に出すために奔走します。

高村光太郎から、詩人の三ツ村繁蔵は八木重吉の詩の理解者であるらしい、と伝え聞いた富子は、重たそうなバスケットを抱えて三ツ村の自宅を尋ねます。そのバスケットの中には、わら半紙からノートに至るまで、重吉の詩稿が詰まっていました。涙声で亡き夫の詩の出版を三ツ村に頼む姿をその横で見ていた三ツ村夫人は、亡き夫の原稿を守ってきた未亡人の健気なこころざしに打たれて もらい泣きしたそうです。三ツ村繁蔵、山本和夫、草野心平により編集・編纂されて、当時としてはかなり手の込んだつくりで出版されました。全く無名だった八木重吉の詩の美しさは、世の人々の胸に響き「無名の詩人」ではなくなって行きます。この世では、妻としての幸せな日々が短かった富子ですが、重吉の詩が出版されて高い評価を受けていくことで報われたことでしょう。その後 富子は42歳で、46歳の詩人 吉野秀雄の後妻となり、4人の子どもたちを育て、やはり結核を病んでいた吉野秀雄を看病しながら過ごします。

 

 

インタビューを聞くのはお好きですか?

2005年~2008年に80歳前後の素敵な女性にインタビューしたものをまとめた「ニッポン・ビューティー」という本があります。

どんな方達にインタビューしたかと申しますと、それはそれは豪華なお顔ぶれです。

掘文子、相馬雪香、朝倉摂、春日とよせい吉、瀬戸内寂聴、尾中千草、吉沢久子、斉藤公子、三木睦子、高野悦子、佐藤初女、

黒柳徹子、森英恵、季羽倭文子、暉峻淑子、田辺聖子、森岡まさ子、小泉清子、福田みどり、渡辺和子。

すでに今は召天された方もいらっしゃるのですが、いずれも歯に衣着せぬハキハキと勇ましい素敵な女性たち。読んでいると元気をもらえます。

豪快さで言えば、瀬戸内寂聴さんがやはりダントツ一位でしょうか。潔さでは渡辺和子さんでしょうか、それとも司馬遼太郎夫人の福田みどりさんでしょうか。福田みどりさんもこのラインナップに並ぶとおとなしい方に見えるのが不思議です。

ユニークで型破りな生き方を楽しんできた女傑たちの、中身の濃いずっしりとした珠玉の言葉の数々に励まされ、時には共感共鳴し、「すごいなぁ」と驚嘆し、最後には「女性として生きるって素晴らしい!」と思わされるインタビューばかりです。

先日、100歳を迎えられた 鈴乃屋の名誉会長でセイコきもの文化財団の理事長であられる小泉清子さんのインタビューもとても素敵です。
こちらの本はオフホワイトの美しい装丁なのですが、真っ赤な帯が付いていまして、女優の黒木瞳さんの推薦の言葉が書かれています。
「美しい人生には、根がある。波乱にもブレない正しさがある。本物の女性は、たおやかでいて勇ましい。あとにつづけと、心の声がした。 黒木瞳」

秋の夜長のお供に、賑やかで華やかでシャープで深い この一冊はいかがでしょうか?

 

写真集はお好きずきがあるかもしれませんが。

以前、こちらのブログでもご紹介させていただいたことがある「幼き衣へ」という石内 都さんの写真集、とても美しいのです。

写真は全て、赤ちゃんや幼い子どものために作られた、約100年前の「百徳きもの」や「背守り」の写真です。

「百徳きもの」は加賀友禅のパッチワークです。生まれてくる赤ちゃんのために、近所の人たちや親戚縁者がお祝いに布きれを持ち寄り、健やかに育ちますようにと一針一針思いを込めて縫い上げたものです。医療の発達に伴い、新生児の死亡率が激減している現代ですが、当時は赤ちゃんや小さな子どもの死亡率は今よりもずっと高く、「生き延びて欲しい」という親の切なる願いがこもっている きものでした。

「背守り」は七五三のきものでもでも見かけるので、比較的馴染みがあるかもしれません。背中の真ん中の上の方に、糸が束ねて縫い付けてあったり、お守りの意味のある模様の刺繍があったりします。背後から襲おうとする邪気を払うもので、赤ちゃんや小さな子どもの無事の成長を祈るための きものの飾りです。

写真に写っている小さなきものは、とても可愛らしく、その小さなきものを着たのであろう赤ちゃんや小さな子どもたちへの愛情が感じられます。「生き延びて欲しい。幸せであって欲しい」という親の願いはいつの時代も変わらないものです。

カラフルですが、長い年月を経て落ち着いた色味になっているアンティークのきものは見ているだけで心が安らぎます。

 

寝るのがもったいないくらいの秋の夜長、ぜひ、素敵な本で心に響く言葉を楽しみながらお過ごしくださいませ。

 

さて、Jan=Michel Villon & Yvon Riou Japan Tour 栃木公演も再来週の金曜日となりました。

119日(金) 悠日カフェにて、ケルト音楽界最高峰のデュオの演奏が聴けるまたとないチャンスです。

ぜひ、お見逃しのなく!

イベントページはこちらです↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

Https://www.facebook.com/events/1873177886103577/?ti=as

 

これからますます寒さが増して参ります。どうぞお身体をご自愛くださいませ。

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