このページを編集する

栃木県宇都宮市で着物と着付け教室、振袖を扱う呉服専門店|宇都宮伊澤屋です。着物のお手入れや和のお稽古事、洋装・フェアトレードなども取り扱っております。

宇都宮伊澤屋へお越しの際は、ご来店予約が便利です。おまたせせずにご対応いたします。

 2018年11月  

SunMonTueWedThuFriSat
123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930

ミルトス・ブログ

古代錦と伝統音楽
2018年11月13日

古代錦と伝統音楽

 

いつも当店をご愛顧いただきまして、誠にありがとうございます。

 

霜月半ばとなりまして、こちら栃木県宇都宮市では朝晩の冷え込みが厳しく、寒さがつのってまいりました。宇都宮大学のキャンパスや栃木県庁前の銀杏が美しい黄金の並木となって、通りすがりの人々の目を楽しませています。

 

さて、いよいよ今週木曜日開催となりました。澤屋重兵衛コレクション(1115日~17日)。

毎年毎年、新しいテーマで、独特の世界観を創りあげている素晴らしいコレクションです。

澤屋重兵衛ホームページ

http://www.sawaya.jp/

 

「古代錦

 

本物の良さとは何でしょう

高いクオリティと気品

身につけるたびに

語りかけてくれる

 

初代・澤屋重兵衛から八世代

二百数十年あまり

京都西陣にて脈々と受け継いできた伝統

歴史を超え、ほんものを創りつづけます

 

長い年月のなかで生み出されてきた作品には

心のつながりがあります。

そのひとつひとつに、ときを重ね

次の代へと託すことの満足を

感じてもらえる瞬間があります。

 

 

安永5年より初代、澤屋重兵衛から八世代

230年 京都の西陣で帯を織りつづけてきました。

図案、紋意匠、糸染め、箔押し、織る・・・

いくつもの分業工程を経て はじめて完成する帯。

一つの帯を作るのに、沢山の職人の想いが入っています。

長い年月の中で生み出されてきた作品には

それぞれに熟練した職人の技と心のつながりがあります。

ものづくりはシンプルなものほど難しい。

澤屋の原点、帯、古代錦。

ほんものだけが持つ心地よさ。

世代を超えて、時を重ね使い続ける満足がそこにはあります。」

(澤屋重兵衛ホームページより)

 

ぜひ、独創的で魅力的な澤屋重兵衛の世界をご堪能くださいませ。

 

また、澤屋重兵衛コレクションと同じ日程で「香老舗 松栄堂の練香で帯揚げを焚きしめます!」を開催いたします。

練香は煙が出ないので、帯揚げにシミを作らず、かぐわしい薫りを焚き染めることができます。

1500円。お一人様3点まで承ります。

お出かけの多い秋のおしゃれをワンランク・アップするために、ぜひお試しくださいませ。

 

さて、当店のホームページ・ブログやフェイスブックでも何度もご紹介してまいりました「Jean=Michel Veillon & Yvon Riou Japann Tour in Tochigi」が、119日の金曜日に、宇都宮市吉野にあります悠日カフェにて無事に開催されました。

お蔭様にて、86名様のお客様をお迎えしました。

JeanYvonの迫力ある素晴らしい演奏に、お客様の皆さまは圧倒されていらっしゃいました。

まさに想像を超えた、世界最高峰の音楽でした。

お帰りになるお客様をお見送りしながら、お客様の満ち足リた笑顔を拝見して、本当に嬉しく存じました。

JeanさんとYvonさんと、お二人を連れて来てくださった笛奏者のhataoさんにも、当店のきものをお召しになっていただきました。
とても喜んでくださり、hataoさんはステージでもお召しになっていただきました。(hataoさん、ありがとうございました。)

当日、お客様に配布したセットリストとブルターニュについての説明です。

ご来場いただけなかった何人かのお客様から「行きたかった!」のお声をいただきましたので、こちらに掲載させていただきます。

少しでも演奏会の雰囲気を味わっていただけたらと思います。

 

<ブルターニュについて>

ブルターニュはフランスの北西部に位置する半島です。海峡を挟んで北にはブリテン島やアイルランド島が、南にはスペインがあります。ブルターニュはフランスに1532年に併合されるまで、一つの国でした。フランスではさまざまな言語が話されていますが、ブルターニュではブルトン語が話されており、それはウエールズ語、アイルランド語、スコットランド語と親戚関係にあるケルトの言語です。

 

<伝統音楽とダンスについて>

ブルターニュではダンスが盛んです。公民館のような場所を皆でお金を出し合って借り切ったり、夏の間は野外でも、夜から明け方まで、男も女も老いも若きも小指をつないで丸く輪になって踊ります。

20世紀の二つの戦争は男性の人口を大きく減らしました。音楽の担い手は主に男性だったため第二次大戦のあとブルターニュ音楽とダンスは一時的に衰退しました。伝統音楽の火を灯し続けたのは女性だったのです。70年代になりブリテン島でフォークリバイバル運動が盛んになると、ブルターニュでも伝統音楽とダンスを復興させる機運が高まりました。

 

<フルート演奏について>

ブルターニュでは中世にフルートが演奏されていた資料があるものの、フルートの伝統は一度途絶えてしまいました。ジャンミシェルはそれまで使われていなかったフルートで伝統音楽を演奏するにあたり、アイルランドやスコットランドの伝統音楽はもちろん、東洋やイスラム世界の笛の音楽を参考にしてフルートの演奏スタイルを確立しました。今日演奏するフルートは、日本ではアイリッシュフルートと呼ばれることが多い、19世紀初頭のデザインに基づく木製のフルートです。

 

<楽器について>

伝統的なブルターニュの管楽器には2種類あります。ボンバルドはオーボエと同じ仕組みのダブルリード楽器で、世界一大きな音がします。ビニウコーズはバグパイプで、高音で耳をつんざくような音がします。これらの楽器の奏者はソナーsonerといいます。

 

1.Yannig Kongar / Ar Vagerez / Dañs Kerne (trad.)

ヤニック・コンガー/アルヴァジェレズ/ダンスケルネ

 

私たちが暮らすブルターニュ北部の歌に起源を持つ3曲です。一つ目はGwerz(ラメント、哀悼歌)で、ヤニック・コンガーという若い男性の結婚についての歌です。ヤニックはある女性と恋に落ち結婚を願いましたが、母親に反対されました。彼は頑固なブルターニュ人らしく母親の助言を無視して結婚を強行したヤニックですが、やはりその女性とはうまくいきませんでした。2曲目は同じく私たちが暮らすトレゴールTregor地域の曲でsôn(食卓や結婚で歌う歌)です。 Ar Vagerezとはブルトン語で授乳する女性(乳母)のことです。3つめのDañs Kerneはブルターニュで人気のある8拍子のロング・ダンスであるガボットGavottenの派生形です。

 

2.Lârit cHwi din Berjelenn / Dañs plin (trad.)

ラヒトゥイディンベルジェン/ダンスプリン

 

中央ブルターニュのラブソングで、そのプリンPlin地域に由来するダンス・プリンという踊りです。かつて人々は農地を平らにするためにダンスをしました。この曲は「羊飼いの娘さん、僕と話をしてください」という意味です。

 

3.An Nehadeg (trad.)

アンネハーデック

 

トレゴール地方の歌に起源がある3つの曲です。1800年代のブルターニュではリネン(麻)の生産が盛んで、工場ではたいてい50100人が女性が働いていました。この歌は同じ男性を好きになってしまった2人の女性が口論するという内容です。ただし罵るわけではなく、詩的な方法で攻撃したのです。

 

4.Ton Karnag / En oed a driuèh vlé (trad.)

トンカルナック/エンウィドドクリエフブレ

 

ケルト人以前の巨石文明の遺跡があるブルターニュ南部、大西洋に面したカルナックKarnag地方の曲です。おそらくは歌が起源で、ボンバルドとビニウで演奏されます。

En oed a driuèh vléは「18歳で」という意味です。恋に落ちた乙女が、そのことを母親に話すという内容で、母親はその話を聴くやすぐに娘を修道院に送って修道女にしたのです。

 

5.Ridées à six temps (1.trad, 2.trad, 3&4 JMV)

リデアセタン

 

東ブルターニュのPays Gallo地方のダンス、リデー・セタン(6拍子のリデ)です。Gallo語は古いフランス語の方言で、いまもこの地域で使われています。

 

6.Mount Gabriel (Seán Whelan) 

マウントガブリエル

 

アイルランドのギタリスト、ショーン・ウィーランの作品。彼がケリーに住んでいた頃、3週間毎日が雨続きですることがなかったので家ですごして、いくつかの曲を作りました。この曲はそのひとつです。

 

7.Slow air & Slip Jigs (Ireland trad.)

アイルランドのゆっくりなメロディと、9/8拍子のダンス曲のメドレー。

 

8.Suite de Loudia (1,trad. 2,Lancien 3&4,trad . 5&6, trad. 7,Fred Lambierre)

スイートデルディア

 

ブルトン語が話されるのはブルターニュの中でも西部のみで、東部では言語は失われてしまいダンスのみが残りました。もっとも、この地域では方言として中世のフランス語 Gallo語が残っています。ジャンミシェルはこの地域出身のためGallo語を話します。東ブルターニュLoudiac地方に伝わる輪になって小指をつなぐ賑やかなダンス曲のセットです。うちいくつかは最近アコーディオン奏者が作曲しました。

 

9.Ar plach diw wech eureujet / Ar plach he daou vried / Pa oan me plac'hig yaouank / Ton gavotten

アフプラフデュウヴィフユージェウト/アフプラヒデウヴィエド/ペワンメプラヒヨウワンク/ガボッテン

 

フランス映画「マルタンゲールの帰還」は、ナポレオン帝政時代の実際にあった出来事に基づくストーリーです。ナポレオンはヨーロッパ各地で戦争をしましたが、いつも前線に送られたのはブルターニュの男たちでした。この話では、ブルターニュ人の夫が戦争に取られてしまい、7年間待っても帰ってきませんでした。周りの人は女に、夫は死んだのだ、もう帰ることはないからと再婚を勧めました。そして女は新しい夫と再婚しました。

ある日のこと、新しい夫は酒を飲みにでかけ、女は一人で家にいました。すると、夜中にだれかがドアをノックする音がします。その人はドアの向こうで「君の夫だ、帰ってきたよ」と言います。夫は死んではいなかったのです。

女には信じられず、ドア越しに夫かどうか確認することにしました。二人が出会った場所や、結婚式の時のドレスがどんなだったか、そんな話をして、ようやく女は、本当に主人が帰ってきたのだとわかったのです。しかし女はドアを開けませんでした。二人が再会しても、時間を戻すことはできないのです。この話に基づく民謡はフランス中にありますが、ここではブルターニュの中央部と北部に伝わる2つのバージョンを続けて演奏します。この曲のタイトルは「二回結婚した女」として知られています。

 

10.Tonioù Bro-Wened

トニオウブロヴィーンド

(1.Hanter dro / 2.Pa oen me Bihan / 3.Kas a-Barh : 4.Laridenn)

ハンテールドロ/アウェンメビーン/カサバー/ラリデン

 

南ブルターニュのダンスのセットです。ここでは、現代の平均律ができる前にフランスで演奏されていたと思われる音律の笛で演奏します。この音律は南ブルターニュのボンバルド

ビニウ(そして歌手)の音律を基にして現代のフルート製作家ジル・レアールGilles Lehartが製作したものです。

 

11.Macedonian tunes (trad.) / Kanbadri Alek(Ross Daly)

 

演奏家は旅をするとその土地の音楽を持って帰ることがあります。この曲はバンド「コルノグ」Kornog1987年にバルカン半島、当時のユーゴスラビア(現在のマケドニア)を旅行した際、スコピエで出会ったKavalカバル奏者から覚えた曲です。カバルの音階は独特な半音階で、その奏法を模倣します。この踊りはロングダンスです。2曲目はアイルランド人でクリートCrete島に住む音楽家Ross Dalyの作品です。

 

12.Al Leanezig Izabel / Gavotten Gizenael / Pach pi Lebazi (1,trad. 2,trad. 3,JMV)

アルレアネージックイザベル/ガボッテンギゼナエル/パシピラバジ

 

このメロディは中央ブルターニュの小さな村のボンバルド奏者のBastion ar Zoner(笛吹きのセバスティアン)が演奏しており、意味は「信仰心の篤いイザベル」です。

ブルターニュの音楽家の練習として、ゆっくりな曲をダンス曲にしたりその逆にダンス曲をゆっくりな曲として演奏することがあります。その後に続く2曲は、歌のメロディをもとにダンス曲にしたもので、ガボットとパシピを演奏します。ダンス曲のタイトルはもとの曲のタイトルを逆さまにしたのです。

 

ちなみにアンコールは、Marig Ar Pollantonでした。

このような曲です。

Https://youtu.be/7yJ2tgn9bgA

(こちらの動画は3年前にフランスにて撮影されたものです。)

 

いよいよ秋も晩秋と呼ばれるような気配になってまいりますね。

寒さもつのってまいりますので、暖かくなさって、風邪などお召しになられませんようご自愛くださいませ。今週もどうぞお元気にお過ごしくださいませ。

タグ: 澤屋重兵衛  栃木県  宇都宮市  宇都宮伊澤屋  伊澤屋  古代錦  Jean=Michel Veillon  ブルターニュ  伝統音楽