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栃木県宇都宮市で着物と着付け教室、振袖を扱う呉服専門店|宇都宮伊澤屋です。着物のお手入れや和のお稽古事、洋装・フェアトレードなども取り扱っております。

宇都宮伊澤屋へお越しの際は、ご来店予約が便利です。おまたせせずにご対応いたします。

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ミルトス・ブログ

八十八夜を中にして
2019年04月15日

八十八夜を中にして

 

いつも当店をご愛顧いただきまして、誠にありがとうございます。

 

このブログを書いている日の前日に、当店が所在いたします栃木県宇都宮市では、雪が降りました。

ぼったりと重たい牡丹雪が昼間にしばらく降っていました。

満開だったソメイヨシノに雪が積もった様は、なんとも詩的でうっとりするほど美しい景色でした。

ここ宇都宮市では入学式だった小学校が多かったようです。満開の桜だけではなく、雪もキラキラと光り、2倍のお祝いを申し上げているかのようでした。寒さを忘れて見惚れておりましたら風邪をひきまして、微熱で夢うつつのままに、このブログを書いております。

 

一度訪れた春が遠ざかったかに思えましたが、やはり春は確実に存在していて、夜の10時ごろに空を見上げると、北斗七星が空の真ん中に見えるようになってきました。

北斗七星、という呼称は、射手座の南斗六星に対して名付けられた中国名で、推古時代に陰陽道、天文暦術とともに百済から伝わりました。

ひしゃくのマスの先のβ星(ベータ星)からα星(アルファ星)を結び、そのままその長さの5倍伸ばしたところに北極星があります。

ひしゃくのマスの4星を斗魁(とかい)、柄の3星を斗柄(とヘい)と呼び、個々の星はマスの先から順に、α星を貪狼(とんろう)、β星を巨門(こもん)、γ星(ガンマ星)を禄存(ろくそん)、δ星(デルタ星)を文曲(もんごく)、ε星(イプシロン星)を廉貞(れんちょう)、ζ星(ゼータ星)を武曲(むごく)、η星(エータ星)を破軍(はぐん)と読んでいます。

一方、アラビア語では、α星をドゥベー(熊の背)、β星をメラク(腰)、γ星をフェクダ(太腿)、δ星をメグレス(尾の付け根)、ε星をアリオト(意味不明)、ζ星をミザール(帯)、η星をべナトナシュ(泣き女の長)と言います。

「七曜の星」というのは、日・月・五惑星(火星・水星・木製・金星・土星)から出た、陰陽道・仏教による北斗七星の別称です。

江戸中期、当時の幕府の老中だった田沼意次の家紋は七曜でした。田沼意次は、志が厚いか薄いかは贈り物の多少でハッキリする、という賄賂哲学を持ち、長男の田沼意知とともに政権を欲しいままにしましたが、家斉が第十一将軍になると失脚しました。その時、巷ではこんな戯れ歌があらわれたそうです。「金取って まつる北斗の七つ星 我が身の罪の当たる剣先」。

「七つ星」それから「七夜の星」というのも北斗七星の和名で、オリオン座の「三つ星」、すばるの「六連星」(むつらぼし)と同じく、七つの星が並んでいるところからつきました。

小唄の「松の葉」に「星になりたや 七夜の星に、橋は紅葉(べには)の色深く、懸けて願ひの絲(いと)の縁」と唄われています。

また、北斗七星を和船の舵に見立てて「舵星」と呼ぶこともあるようです。沖縄では、ひしゃくのマスの先のα星とβ星を除いた五つの星を船の形に見立てて、「船星」を意味する「フニブシ」または「ウフナーブシ」と呼ばれています。

 

春の夜空を見上げながらも、今週末は浴衣の仕入れがあったり、単衣の着物のお手入れが始まったりと、当店はすでに夏の準備に入って居ります。

店の入り口に置いてお客様に喜んでいただけるようにと、紅色の睡蓮の花の苗を分けていただいたものを植えてみました。

睡蓮の花について何も知識が無くて、植える準備にも右往左往でございましたが。

 

自らを「植物と心中する男」と呼び、「私は植物の愛人としてこの世に生まれてきたように感じます。あるいは草木の精かもしれないと自分で自分を疑います。私は飯よりも女よりも好きなものは植物です(略)」と自己紹介する日本の植物学の父、牧野富太郎はその著「蓮の話」の中で、蓮の花を植える時期についてこのように書いています。

「(・・・略)ハスを栽え付けるには、その前年の蓮根を掘らずにおいて春の八十八夜の前後十日、すなわち八十八夜を中にしておよそ二十日くらいの間にこの掘らずに種に残しておいた蓮根を掘り来たってこれを栽え付けるのですが、その蓮根を横に泥中に入れ少しく後方に曳いて置くのです。この蓮根は後部は少々泥中より出ておっても差し支えはないが、前端すなわち芽のある方はよく泥中へ埋めおかねばなりません。この種蓮根は一坪におよそ三、四本栽えるのであります。」

 

文中に出てくる「八十八夜」とは雑節の一つです。

雑節とは二十四節気(一年間を24等分したもの)、五節句(季節の節目の行事)の他に、季節の移り変わりをより的確につかむために設けられた特別な暦日のことです。

八十八夜は立春から88日目の日のことで、春から夏に移り変わる節目の日、夏の準備を始める日、演技が良い日とされています。

今年、2019年の立春は24日の月曜日でしたので、八十八夜は52日の木曜日ということになります。

つまり、2019年の「蓮の植え頃」というのは、牧野富太郎先生によりますと、422日の月曜日から512日の日曜日ということになります。

まさにちょうど今頃が、今年の蓮の植え換えの時期ということになります。

 

牧野富太郎は「蓮の話」の冒頭でその花の美しさを讃えています。

「諸君は、諸所の池において『蓮』を見ましょう。その清浄にして特異なる傘状の大きな葉と、その紅色もしくは白色の顕著なる花とは、一度これを見た人の決して忘るることのできぬほど立派なものであります。」

「蓮の話」のとても魅力的なところは、花や実だけではなく、花や葉に見ることができる美しい水滴やその葉の香りの芳しさについても言及しているところです。

このように書かれています。

 

「ハスの葉の表面へ雨などの水滴が落ちてきても、少しもその表面は潤いませぬ。その水はあたかも水銀のごとく光を放ってついに葉面より転げ落ちます。このごとくその表面は少しも潤わずかつその水滴は珠玉のごとく光を放つのはいかなるわけかと言いますと、これはその葉の表面に細微なる刺状の突起(表皮の細胞の一方上になってる方が突き揚がっている)がたくさんあり、たとえ水滴がその表面に落ち来てもその小突起の間に空気があるので、水をして葉体に膠着せしめないかたであります。またその水滴に光のあるのは、その水滴が件(くだん)の空気の接触している表面があたかも鏡のごとく強く光線を反射するからであります。サトイモの葉の表面もまたこれと同様、その表面に細突起があって、その表面に落ちる水滴を同じく珠玉のごとく見せるのであります。この浄き水の白玉を左のごとく詠じたものがある。

  濁りある水より出でて水よりも浄き蓮(はちす)の露の白玉

ハスの葉には、一種の香気があります。もの好きな人は時に飯にこの香気を移して楽しんでいます。夜間ハスの生えている池辺りを逍遥(しょうよう)すれば、この香気がたちまち鼻を打ち来たりてすこぶる爽快を覚えます。」

 

その花言葉が「Purity of Heart」(心の純粋さ)である睡蓮の花が、その名の通りに無事に美しく紅色の花を咲かせますようにと願っております。

 

さて、当店の初夏のイベントをご紹介いたします。

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510日(金)・11日(土) 染織逸品会「織紋意匠 鈴木展」

 

明治四十年の創業以来百年余り、京都・大徳寺の門前に店を構え高い美意識と確かな技術を持って本物を作り続けてきた織紋意匠 鈴木。

他に類を見ない立体感を表現する「唐織」を主とし帯・お袈裟・能衣装など、こだわり続けるものづくりは優れた職人に支えられ、代々受け継がれてきました。日本を代表する織物の産地として名高い「西陣」のちで本物だけを作り続けています。

 

▲クリックで拡大します。 

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428日(日)~56日(月)まで、伊澤屋店舗改装のため、お休みをいただきます。

 

 

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以前に、お客様には郵送でご案内申し上げました「フィンランド教育講演会」の日程と会場が変更になりました。

 

「フィンランド教育講演会」 512日(日)13:30~

会場: ひのおか 森のナーサリー 宇都宮市竹林町804-2

お申込み先: 080-5055-0401(スズキ)

Facebook イベントページ https://www.facebook.com/events/1070413179809531/

 

 

世界最高の教育水準を保つフィンランド

現在、世界最高の教育水準を保っているフィンランドの教育事情の最新情報をお伝えする講演会を開催します。

昨年915日・16日の日程で聖心女子大学にて開催された「未来の先生展」https:/www.facebook.comsensei.mirai/

そこで定員を大きく上回る参加者を前に、「フィンランド教育」の講義を担当されたcokowill代表の寒川英里先生( https://www.facebook.com/cokowill2016/  )が最新のフィンランド教育事情を伝えてくださいます。

フィンランドのお菓子と北欧の紅茶をご用意します。フィンランド音楽のミニ・コンサート付きです。

ぜひ、ご来場くださいませ。

 

講師の寒川英里先生のプロフィールです。

cokowill代表、Diagonal Run Tokyo コミュニティマネージャー

1981年 神奈川生まれ。青山学院大学在学中に学生の就職活動支援団体を立ち上げ、「『働く』と『生きる』をわけない」をテーマに掲げ活動を行う。卒業後、リクルートグループに入社。出産後、数回の転職を経験する中で、営業、企画、人事などの仕事を経て20164月に独立。自分らしく働き、自分らしく生きることへの【ふみだす一歩をともにする】ことを自らの仕事とし、cokowillという活動名で「しごと」をテーマとしたワークショップ、「働き方」イベント、「教育」をテーマとしたイベントなどの活動を行なう。 Edtechベンチャーの人事、パーソナルコーチング、人事採用コンサルタント、講師、ファシリテーター、コミュニティマネージャーなどの仕事も行うパラレルワーカー。

 

そして講演の前のアイスブレイクとしてミニ・コンサートをご用意して居ります。

ギタリストの小川倫生氏とヴァイオリニストの櫛谷結実枝氏がフィンランド音楽を演奏してくださいます。

 

小川倫生氏プロフィール

90年代から音楽活動を開始し、現在までに6タイトルのアコースティック・ギター・ソロのアルバムを発表。

ギターの可能性を広げるテクニックとオリジナリティー溢れる楽曲が注目を集めている。

その音楽はジャズ、ロック、現代音楽、民族音楽、アンビエントと幅広いルーツを持つ。

映像的でイマジネーションを掻き立てるギタースタイルは唯一無二

 

小川倫生氏の演奏動画はこちらです。

 

 

櫛谷結実枝氏プロフィール

滋賀県出身。栃木県宇都宮市在住。

幼少の頃よりクラシックバイオリンに親しみ、アマチュアオーケストラなどで演奏。

過去にエレキバイオリンを使用して、ロックバンドやインストユニットなどで活動する。

様々な音楽に影響を受け、現在は北欧の伝統音楽、バロック音楽、教会音楽などを好み、アコースティックユニットFelonなどで活動している。

https://ameblo.jp/yumie-kushitani

 

櫛谷結実枝氏の演奏動画はこちらです。

 

八十八夜まであと2週間あまり。寒暖差もあって体調管理が難しいですが、くれぐれも寒い日は、私のように雪と花に見惚れたり、夜空に見惚れて風邪を召されたりなさいませんように。寒い日は温かくして、暖かい日は春を楽しんでお過ごしくださいませ。

今週もお健やかにお過ごしくださいませ。

 

タグ: 栃木県  宇都宮市  宇都宮伊澤屋  織紋意匠鈴木  寒川英里  小川倫生  櫛谷結実枝  フィンランド教育講演会  睡蓮  ハス  牧野富太郎